
フランスに注目
7月。2025年も半分過ぎた。早いものである。今学期も残すところあと少し。気を抜かずに駆け抜けよう。

7月4日といえば、アメリカの独立記念日。わたしはアメリカ文学専攻なのですが、トランプ政権にもの申すべく、ヘソを曲げてもいるため、今回はアメリカ方面の話題は取り上げません。代わりにといってはなんですが、7月14日のフランス革命記念日(またの名称「パリ祭」)を取り上げます。自転車レース界世界最高峰の大会であるツール?ド?フランス(今年は7月5日~27日)も始まったことだし、今、注目すべきはフランスだ!
白いサングラスのプリンス
今学期、必死にがんばってきたみなさまへ向けて、自分へのご褒美となるような学食と本コラムのコラボ企画第4弾をひっさげての曲紹介???今回はフランスが生んだ大スター、ミッシェル?ポルナレフ(Michel Polnareff)がアメリカに渡り英語で歌った「星空のステージ」をお届け。原題は“Fame A La Mode”、現代風の名声という意味になりましょうか。

ミッシェル?ポルナレフは1944年7月3日(Joyeux Anniversaire!)、フランスはネラクに生まれたミュージシャン。白いフレームの大きなサングラスがトレードマーク。お尻を出したポスターを街中に貼って罰金刑を食らったりするという破天荒な一面がありつつも、ロマンティックなピアノが特徴的な曲を多く作っている。

70年代の全盛期には、邦題「愛の休日」にはじまり「愛の物語」「愛の願い」「愛のシンフォニー」「愛のコレクション」などなど、とりあえず「愛」をつけておけばいいだろうという感じで、愛の乱発を看板に(日本では)売り出されていた。そのおかげか、日本では本国フランス以上にそれはもう大人気だったようである。嬉しいのは、このミッシェル?ポルナレフ、今も元気にツアー中であるということだ。

新譜も今年の4月に出したばかり。愛があふれると元気に長生きできるらしい。ちなみに新譜のジャケットは今流行のAI画像。
アメリカのフランス人
さて、今回聴く“Fame A La Mode”のミッシェルは、英語圏での音楽活動の活発化を目論んでおり、それまでの王道のフレンチ?ポップとはちょっと異なる路線だったため、大ヒットとまでは当時いかなかったようだ。けど、今聴いてみると、なんだかとてもいい感じ。「アメリカのフランス人ここにあり!」といった趣がある(ちなみに「アメリカ/ニューヨークの英国人」ならスティング)。フランス語訛りの英語も素敵だ。
Fame a la mode
フェーム?ア?ラ?モード(現代風の名声)
Flashbulbs explode
フラッシュバルブが爆発
All the electronic circuite overload
電気回路はすべてオーバーロード
When you are the show
ショーの主役なら
Then you know the show must go on
ショーは止めちゃダメ
Hitting the road
旅に出て
Salaries owed
給料の支払いもある
I’m responsible for shouldering the load
負担の責任はボク
When you are the show
ショーの主役なら
Then you know the show must go on
ショーは止めちゃダメ
(Drag closet queen wearing crush velveteen)
(ドラァグ?クローゼット?クイーンが
しわくちゃのベルベットを着てる)
Can’t someone slow down the machine?
誰かマシンの速度を緩めてくれないか
(Too much caffeine, Had too much nicotine)
(カフェイン摂取過多、ニコチンも摂り過ぎた)
Someone slow down the machine
誰かマシンの速度を緩めてくれ
I’m longing for space
宇宙にあこがれてる
Longing for time
時間を待ち望んでいる
Why can’t folks just say what they mean?
みんなどうして自分の言いたいことが言えないの?
Why can’t this ever-lovin’ life I’m leading ever feel clean?
愛にあふれたボクの人生はどうしてキレイな感じがしないんだろ?
Slow down the machine
マシンの速度を緩めてくれ
I really need so bad to unwind
ボクはホントにくつろぎたいんだ
I really need to rest my mind
心を休めなきゃ
Velvet stockade
ベルベットのストッケード(防御柵)
Spiked lemonade
酒を入れたレモネード
Fifty magazine reporters to persuade
50人の雑誌記者を説得しなきゃ
When you are the show
ショーの主役なら
Then you know the show must go on
ショーは止めちゃダメ

「星空のステージ」も収録されている
Making the grade
成績をあげる
Not getting paid
給料未払い
I’m rehearsing for a ticker-tape parade
字幕パレードのリハーサル中
When you are the show
ショーの主役なら
Then you know the show must go on
ショーは止めちゃダメ
(Gotta get a scene, chippy, chip chip scene
Chippy, chip, chip, chip star-tripper’s dream)
(シーンを撮らなきゃ、チップなシーンを
チップな星の旅行者の夢)
Please slow down the machine (Trippy)
お願い マシンの速度を緩めて(トリッピー)
(Cream limousine, Black and blue screen)
(クリームのリムジン、黒と青のスクリーン)
Please
お願い!
何を言いたいのかよくわからない歌だが、ツアーに出てハチャメチャな暮らしをしているミュージシャン(きっとミッシェル?ポルナレフ本人)の様子が歌われているのでしょう。ミッシェル本人はとってもよくしゃべる人なのだが、歌の中でも変わらずたくさん言葉が踊っている。裏表のない素敵な人である。
学食でパリ祭を祝おう
さあ、今学期の最終週、フランス革命記念日(パリ祭)である7月14日(月)をスタートとし18日(金)までの5日間限定で、学食2階のコパンと本コラムのコラボ企画メニューが登場です!

ミッシェル?ポルナレフの“Fame A La Mode”にちなんで、わたくし監修のプリン?ア?ラ?モードをご提供します。手作りプリンにメロンやサクランボを添えた豪華デザート。お値段は300円。毎日12:30~販売開始です。

今学期、ここまでがんばってきたみなさん、ぜひ、自分へのご褒美にちょっと贅沢してプリン?ア?ラ?モードでひと息ついてください。そして、パリ祭も同時に祝いましょう。Vive la France!
それでは、次の1曲までごきげんよう。Au revoir!
Love and Mercy
(文:亀山博之、写真:【トップ画像、プリン?ア?ラ?モード】グラフィックデザイン学科2年 伊藤あん、【その他】亀山博之)
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#かんがえるジュークボックス(第1回~第32回)

亀山博之(かめやま?ひろゆき)
1979年山形県生まれ。東北大学国際文化研究科博士課程後期単位取得満期退学。修士(国際文化)。専門は英語教育、19世紀アメリカ文学およびアメリカ文学思想史。
著書に『Companion to English Communication』(2021年)ほか、論文に「エマソンとヒッピーとの共振点―反権威主義と信仰」『ヒッピー世代の先覚者たち』(中山悟視編、2019年)、「『自然』と『人間』へのエマソンの対位法的視点についての考察」(2023年)など。日本ソロー学会第1回新人賞受賞(2021年)。
趣味はピアノ、ジョギング、レコード収集。尊敬する人はJ.S.バッハ。
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